後見人制度とは? 後見人が「できること」と「できないこと」をまとめました。

  • 2020年10月25日
  • 2020年10月28日
  • 後見人
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認知症の方は車の売買や自宅の売買などの契約行為を単独で行うことが困難です。
本格的な高齢化社会となった現代において、認知症の方の法律的な契約行為などをサポートする存在として後見人制度を利用しなければならないケースが増えています。
ご自身やご親族が認知症になった時に備えて、後見人制度について理解を深めておくことは高齢化社会においては必須と言えるかもしれません。

認知症の方が親族の中にいらっしゃる方は後見人制度を理解し、認知症の方が安心して暮らしていくことができるよう、「後見人制度とは何か」、「後見人はどのようなことができるのか」、「後見人にできないことはあるのか」、という点をしっかりと理解しておきましょう。
後見人制度について詳しく解説していきます。

後見人とは

後見人とは判断能力が低い状態がある程度の期間続いている方に対して、法律に基づいて支援を行う方のことです。
後見人は裁判所によって選任される場合とご自身で選任する場合に分かれ、判断能力の程度に応じて3つの類型に分けられます。

また、誰でも後見人になれるわけではないという点にご注意ください。
後見人について詳しく解説していきます。

法定後見と任意後見

後見制度は法定後見と任意後見に分かれます。
法定後見とは、本人や親族などが家庭裁判所へ申し立てを行い、裁判所の審理を経て後見人を選定してもらう制度です。
一方、任意後見とは本人が将来判断能力が低下した時に備えてあらかじめ後見人を選定しておき、公正証書によって後見人と契約を交わしておくというものです。

ご自身で事前に選定しておくのが任意後見、判断能力が低下した後に裁判所に選定してもらうのが法定後見という違いを理解しておきましょう。

後見人になれない人

後見人には誰もがなることができるわけではありません。
以下のような方は不適格と判断されて後見人として認められない可能性が高くなります。

  • 未成年者
  • 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
  • 破産者
  • 行方の知れない者
  • 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
  • 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

未成年者はそもそも法律行為を単独で行うことができませんし、破産者は法律行為に制限があるので後見人となることは不可能です。
これらの方は、後見をする者として相応しくないと判断される可能性が高いので、後見人になることはできません。

後見人の3つの類型

後見人には、被後見人の判断能力の程度によって以下の3つの類型に分かれます。

類型
被後見人の判断能力
後見人に与えられる権限
後見人
判断能力が全くない人
財産管理の代理権、取消権
保佐人
判断能力が著しく不十分な人
借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項についての同意権、取消権
(申し立てによって)
借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項以外の事項についての同意権、取消権
特定の法律行為についての代理権
補助金
判断能力が不十分な方
(申し立てによって)
借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項の一部についての同意権、取消権
特定の法律行為についての代理権

被後見人の判断能力の欠如の程度が大きければ、後見人に与えられる権限も大きくなります。
後見人が最も権限の範囲が大きく、補助人には最初から与えられている権限はありません。
後見人の3つの類型についてもしっかりと理解しておきましょう。

成年後見人ができること事例4選

成年後見人は被後見人の契約行為のほとんど全てについて、取り消しと代理を行うことができます。
具体的に認知症など判断能力が低下した方に対して成年後見人が行うことができることとして、主に考えられるケースが以下の4つです。

  • 医療費や税金などの支払い
  • 老人ホーム施設への入所契約
  • 被後見人の財産管理
  • 相続・相続放棄

成年後見人ができる行為の4つの事例について詳しく解説して参ります。

医療費や税金などの支払い

認知症になったご高齢者の医療費を病院へ支払うことや、認知症になったご高齢者が居住している自宅にかかる固定資産税を支払うことなどを後見人は行うことができます。
医療費や税金だけでなく、生活していく上では必要不可欠な食料品などの様々な生活支出を支払うことが可能です。

老人ホーム施設への入所契約

老人ホームなど、被後見人の方が生活を維持するために必要な契約行為を後見人は行うことができます。
被後見人は契約行為を最適な形で行うことができるとは限りません。
そのため、後見人が契約行為のサポートを行うことができます。
老人ホームへの入所契約や、病院への入院手続等の法律行為に該当する契約行為は後見人が行うことが可能です。

被後見人の財産管理

被後見人の預金や不動産などの財産を把握し、適切に管理することも後見人の仕事です。
後見人が管理することによって預金などが不正に引き出されてしまうことを防ぐことができます。
ただし、後見人ができるのは管理のみで、例えば預金で株式投資を行うなどの積極的な投資を行うことはできません。

相続・相続放棄

相続や相続放棄など、意思表示を伴う法律行為の代理を後見人が行うことが可能です。
遺産分割協議による相続や相続放棄などは、法定相続分通りの相続とは異なり「この財産を相続する」とか「財産の相続を放棄する」などという意思表示が必要になります。
このような意思表示を伴う相続は、判断能力が低下した被後見人が単独で行うことは不可能ですので、後見人が代理することができます。
なお、意思表示を伴わない、法定相続分通りの相続の場合には、後見人なしで相続することが可能です。

不動産の処分などは裁判所の許可が必要

後見人は被後見人の財産を管理することはできますが、処分することはできません。
そのため、例えば不動産の処分などを行う場合には裁判所の許可が必要になるということを理解しておきましょう。
後見人は裁判所の許可なく被後見人が所有する不動産を売却するなどの行為をすることは不可能です。

成年後見人ができないこと

成年後見人は被後見人の契約行為全般に対して取消権と代理権がありますが、成年後見人をもってしても以下の3つだけは行うことができません。

  • 戸籍に関する契約の変更
  • 遺言書を作成する
  • 重要な医療行為への同意

成年後見人が行うことができない3つの行為について詳しく見ていきましょう。

戸籍に関する契約の変更

後見人は戸籍に関する契約の変更である、婚姻・離婚・離縁・養子縁組・認知等を行うことができません。
後見人が行うことができるのは、あくまでも財産管理行為だけというのが基本です。
後見人だからといって、例えば被後見人の離婚手続を代理するようなことは絶対にできません。

遺言書を作成する

後見人は被後見人に遺言書を作成することはできません。
財産管理行為について権限があると言っても、遺言書の作成ができるのであれば後見人が自己に有利な遺言を作成する可能性が高くなってしまいます。
後見人は遺言書を作成することも絶対に不可能です。

医療行為への同意

後見人は重要な医療行為への同意を行うこともできません。
後見人が同意権を与えられているのは軽度の診察や緊急を要するものだけです。
入院をしたことがある方であれば経験があるかもしれませんが、手術などの際には本人の同意が必要になります。
医療行為には薬の副作用や手術の失敗などのリスクがあるからです。
しかし、後見人はそもそも医療行為に対する同意権がないので、被後見人が同意が必要な重大な医療行為を受ける場合であっても、後見人は同意することができません。

今回は後見人制度の概要、後見人になることができる方、また後見人が被後見人に代わりできること、またできないことについて解説をいたしました。後見人制度について理解を深め、制度を有用にご利用頂ければと思います。

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