相続における後見人の役割とは

  • 2020年10月28日
  • 2020年10月28日
  • 後見人
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相続人の中に認知症の人がいる場合には、後見人を立てなければならないケースがあります。

どのケースで後見人を立てる必要があるのか、後見人を立てる必要がないケースはどのような場面か、相続手続を進める前に理解しておいた方がよいでしょう。

相続手続に後見人が必要なケースと後見人の役割について詳しく解説していきます。

本記事内において、「被相続人」とはお亡くなりになられた方、「相続人」とは、お亡くなりになられた方から、遺産の相続を受ける方となります。

今日、高齢化社会、長寿化が進む中で、相続人の方が認知症を患ってしまっているというケースも多くみられるようになってきました。相続人や相続予定者の中に、認知症の親族がいる方はぜひご覧ください。

成年後見制度とは何?

まず成年後見人制度からご説明させて頂きたいと思います。

成年後見制度とは意思能力が低い状態がある程度の期間続いている方に対して、他の者が法律的に支援するための制度です。

例えば認知症の方人が家や車の購入など、法律的な契約行為を行う場合に、成年後見人と呼ばれる方が法律行為、具体的には契約書への署名・捺印など、を支援する制度になります。

相続を受ける行為においても、一部の相続に関する意思表示については、法律上の法律行為の一部と考えられており、相続手続を行う際に、後見人などが相続手続を補助を受ける必要がある場合があります。

どのような人に対して成年後見制度が適用されるのかなど、成年後見制度についてより詳しく解説していきましょう。

判断能力が十分ではない相続人の代理人

成年後見制度とは、判断能力が十分ではなく法律行為を行うことができない人を代理する制度です。

成人で判断能力が不十分な人が必要な契約等を締結したり財産を管理したりする場合の代理を後見人が行うことで、判断能力が不十分な人を後見人等がサポートまたは代理します。

法定後見には3種類ある

法定後見には、対象者の意思能力のレベルにあわせ、以下の3つの種類があります。

それぞれ、どのような人が対象なのか、後見人等与えられる権限はどのようなものなのか、詳しく比較していきます。

こちらも法律用語となりますが、「被後見人」、「被保佐人」、「被補助人」と「被」から始まるものは、法律行為のサポートを受ける必要がある方を指します。反対に「後見人」、「保佐人」、「補助人」と呼ばれる方は、意思決定をサポートする方になります。

後見人

対象者 判断能力が全くない人
申し立てができる人 本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長など
後見人に与えられる権限 財産管理の代理権、取消権
申し立てによって与えられる権限 ー

保佐人

対象者 判断能力が著しく不十分な人
申し立てができる人 本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長など
後見人に与えられる権限 借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項についての同意権、取消権
申し立てによって与えられる権限

借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項以外の事項についての同意権、取消権

特定の法律行為についての代理権

補助人

対象者 判断能力が不十分な方
申し立てができる人 本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長など
後見人に与えられる権限 ー
申し立てによって与えられる権限

借金、相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項の一部についての同意権、取消権

特定の法律行為についての代理権

後見人は財産管理の代理権が与えられているので相続手続を含む、法律行為を後見人が行うことができます。

一方、保佐人・補助人は申し立てをすることによって相続の手続きを代理する権限が与えられます。

成年後見人の2つの種類

成年後見制度には以下の2つの種類があります。

  • 法定後見
  • 任意後見

相続の時に、後見人を選定する場合には法定後見になり、自分の判断能力が低下した時備えて後見人をあらかじめ選定しておくことを任意後見となります。

2つの違いについて詳しく解説していきます。

法定後見

法定後見とは相続が発生した時にすでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所へ申し立てることによって後見人等が選任され相続手続の支援を行う制度です。

任意後見

一方、任意後見とは本人の判断能力があるうちに、自分の判断能力が低下した時に備え、自ら後見人を選任し、後見人と公正証書で任意後見契約を締結しておくことによって備える制度です。

法定後見は判断能力が低下してから、ご家族等の「申立てにより」、裁判所によって選任され、任意後見は判断能力があるうちに「自ら」、「事前に」、後見人を選任しておくという違いがあります。

認知症の相続人に後見人が必要なケース

認知症の相続人に後見人が必要なケースとして以下の2つのパターンをあげることができます。

  • 遺産分割協議によって相続したい場合
  • 相続放棄をする場合

これら2つのケースでは相続人単独で相続手続を進めることは不可能です。

相続手続において相続人が必要になる2つのケースについて詳しく解説していきます。

遺産分割協議によって相続したい場合

遺産分割協議によって相続を行い、法定相続分とは異なる相続を行う場合には、後見人が必要になります。

すでに判断能力が低下しているため、後見人なしでは他の相続人との交渉を行うことができません。

本人自ら相続交渉に臨んだ場合には、判断能力が低下した相続人不利な条件で相続をすることになることも考えられるため、遺産分割協議によって相続手続きを行う場合には、認知症の相続人に対して後見人が必要になります。

相続放棄をする場合

認知症の相続人が相続放棄をする場合にも後見人が必要です。

相続放棄は相続の発生を知った日から3ヶ月以内に申し立てを行わなければなりません。

判断能力がない場合には、適切な判断や手続きを取ることが難しいので、相続放棄の場合にも後見人を選任し、後見人が相続放棄の手続きを進める必要があります。

認知症の相続人に後見人が必要ないケース

他の相続人や裁判所とのやりとりが必要なケースでは後見人が必要になります。

一方、相続手続の中でも以下のようなケースでは必ずしも後見人は必要ありません。

    • 法定相続分通りに分割するケース
    • 遺言通りに相続するケース

後見人が不要な2つのケースについて詳しく解説していきます。

法定相続分通りに分割するケース

法定相続分通りに相続財産を分割するケースでは、後見人がいなくても判断能力の低下した相続人に不利益が及ぶことはありません。

法定相続分通りに財産を分割するケースでは後見人がいなくても相続手続を行うことができます。

遺言通りに相続するケース

また、被相続人が遺言書を作成しており遺言通りに相続する場合にも、判断能力が低下している相続人に不利益が及ぶことはありません。

このケースでも判断能力の低下した相続人に後見人を選任する必要はありません。

相続で後見人を利用する手続き

最後に相続で後見人を利用する流れを詳しく解説します。

基本的には以下のような流れで後見人が決定します。

        1. 家庭裁判所へ申し立て
        2. 家庭裁判所で面接と鑑定を受ける
        3. 裁判所の審判→後見開始

家庭裁判所へ申し立て

相続人の中に判断能力が低下している人がいる場合には、家庭裁判所へ申し立てを行います。

申し立ては四親等以内の親族であれば行うことが可能です。

家庭裁判所で面接と鑑定を受ける

申し立てを受けた家庭裁判所は、本人と面談を行い、判断能力の審判を行います。

ここで、判断能力の程度に応じて、後見人・保佐人・補助人のいずれの後見人を選定するのかを決定します。

裁判所の審判→後見開始

裁判所の審判が終わり、後見人・保佐人・補助人のいずれかが選任されると後見が開始されます。

後見人であればそのまま相続の代理を行うことができますが、保佐人・補助人の場合には申し立てを行い相続手続の代理を行うことを認めてもらう必要があります。

まとめ

相続人の中に判断能力が低下した人がいると後見人等を選任しなければ相続の手続きを進めることができない場合があります。

後見人が必要な場合は以下の2つのケースです。

        • 遺産分割協議によって相続したい場合
        • 相続放棄をする場合

一方、相続人の中に判断能力が低下した人がいても以下のケースに該当する場合には後見人は必要ありません。

        • 法定相続分通りに分割するケース
        • 遺言通りに相続するケース

本人が任意後見をしていない場合には、状況に応じて親族が後見人を選定する必要があります。

自分たちの相続のケースでは後見人が必要かどうかを判断し、適切に対処するようにしてください。

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