成年後見人にかかる費用について(選任・報酬)

  • 2020年11月27日
  • 2020年11月28日
  • 後見人
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親族や親が認知症などになってしまい、判断能力を失ってしまった場合には、その人に後見人を設置する必要があります。
後見人を立てないと、預金の管理や介護保険契約など、法律行為を行うことができません。
しかし、後見人を立てるには一定の費用が必要になります。
それほど大きな金額ではありませんが、無料で後見人を立てることができないため、いくらくらいの費用がかかるのかは理解しておくに越したことはありません。
後見人を立てるための実費と専門家に依頼する際の報酬の相場、さらに後見人へ支払う報酬について詳しく解説していきます。

成年後見人設置にかかる実費費用

成年後見人を設置するためには、裁判所へ支払う費用など様々な実費が必要になります。
主な費用として以下のようなものがあります。

・申立手数料
・郵便切手
・鑑定費用
・医師の診断書
・本人等の戸籍謄本・住民票

それぞれどの程度の金額がかかるのか、具体的に見ていきましょう。

申立手数料

後見人等は家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が選任します。
この際に、手数料を支払う必要があります。
申立手数料は収入印紙で支払い、3,400円〜となっています。

郵便切手

申立後に裁判所は申立人に対して審判書などを郵送しますが、この際の切手代は申立人が負担しなければなりません。

用意する切手とその種類に関しては指定があり、裁判所によって異なるので、詳しくは裁判所のホームページなどを参照してください。
切手代は5,000円以下というのが相場です。

鑑定費用

裁判所は後見人選任の申し立てがあると、本人の判断能力を判定するために鑑定を行います。
鑑定を行う医師は申立時に添付した診断書を書いた医師が行いますが、この費用は病院によって異なります。
一般的には鑑定費用は10万円程度であることが多いようです。

医師の診断書

後見人選任の申立書には、医師の診断書を申立書に添付しなければなりません。
成年後見制度用に家庭裁判所が定めた特別な書式に本人の主治医が記載する方法ですが、一般的に診断書を記載してもらうのにはお金がかかります。
こちらも病院によって異なるものの、数千円程度の費用がかかります。

本人等の戸籍謄本・住民票

申立時には本人の戸籍謄本や住民票の添付が必要になります。
ご存知の通り、戸籍謄本や住民票を取得するには手数料がかかり、手数料は地方自治体によって異なりますが、概ね以下のようになっています。

・戸籍謄本 450円/通(本人・成年後見人等の候補者)
・住民票 300円/通(本人・成年後見人等の候補者)

後見人申立にかかる費用は、病院や自治体によって異なりますが、概ね12万円前後と考えておけばよいでしょう。
この費用は自分で申立をした場合にも実費として必要ですので、最低限この程度の費用が必要になるものと考えておきましょう。

専門家へ依頼した時に発生する報酬

後見人の申立ては本人や親族などが手続きをとることができますが、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することもできます。

専門家へ依頼した方が、一般の方が手続きをするよりも、より確実かつスムーズに手続きを終えることができるでしょう。
司法書士に依頼した場合と、弁護士に依頼した場合、それぞれどの程度の費用がかかるのか、詳しく解説していきます。

司法書士に依頼した場合

司法書士に依頼した場合の費用は15万円〜20万円というのが相場です。
また、司法書士によって異なるものの1時間5,000円程度の相談料がかかることもあります。

弁護士に依頼した場合

弁護士に依頼する場合の費用は21万円程度と考えておけばよいでしょう。
ただし、弁護士事務所によって報酬は変わります。
詳細は依頼する弁護士事務所に問い合わせてみましょう。

成年後見制度の申立であれば、司法書士、弁護士どちらに依頼してもそれほど結果は変わらないでしょう。
一般の方が手続きするよりは確実に手続きはスムーズになるので、「手続きに時間をかけたくない」「確実に手続きを進めたい」と考える方は、司法書士や弁護士へ相談してみましょう。

つまり、司法書士や弁護士に後見人選任の手続きを依頼した場合には、司法書士や弁護士へ支払う報酬と実費の合計で30万円〜35万円程度かかってしまうと理解しておきましょう。
なお、この費用は被後見人の財産から精算することが可能です。

後見人への報酬も発生する

後見人に選ばれた人は、一定の報酬を受け取ることができます。
逆に言えば、被後見人は後見人へ報酬を支払わなければなりません。
後見人は被後見人の法律行為の代理や同意などを行い、その負担は決して軽くはありません。
そのため、一定程度の報酬を対価として受け取ることができます。
後見人への報酬はどの程度なのか、詳しく見ていきましょう。

報酬は家庭裁判所が決定する

後見人等への報酬は家庭裁判所が決定します。
しかし、明確な報酬の基準が決められているわけではありません。

ただし、平成25年1月1日付で、東京家庭裁判所・東京家庭裁判所立川支部が「成年後見人等の報酬額のめやす」というものを公表しており、めやすは月額2万円〜6万円とされているため、概ねこの範囲内で報酬は決定します。
家庭裁判所が決定した報酬額の1年分を、通常は本人の財産から支払います。
なお、後見人が弁護士や司法書士などの専門家になった場合でも、月額報酬の相場は2万円〜6万円と変わりません。
専門家が後見人になることによって「報酬が高くなるのではないか」というイメージがありますが、実際には報酬はそれほど変わらないので安心して後見を依頼することができます。

付加報酬が発生することも

なお、上記の月額報酬の他にも付加報酬額が発生することもあります。
付加報酬額とは後見人等の仕事に特別困難な事情があった場合、例えば本人の代わりに遺産分割協議を行った場合や不動産を売却した場合等に支払われる特別な報酬のことです。
付加報酬額は、月額報酬の50%の範囲内が家庭裁判所から付与されます。
例えば月額報酬が6万円の場合には、その50%である3万円以下が付加報酬として加算されます。

成年後見人申立費用が払えない場合

成年後見人申立費用は実費だけでも数万円以上になってしまう場合があります。
経済状態によっては、この数万円の費用を支払うことができない人もいるでしょう。
しかし、成年後見制度はお金の有無に関わらず、判断能力のない人を守るためには必要不可欠な制度です。
お金がない方も、成年後見制度を利用できるよう、以下のような救済策が用意されています。
「お金がなくて成年後見制度に申立てできない」という方は利用を検討してください。
救済措置は市区町村と法テラスが行なっています。

市町村によっては、成年後見人選任にかかる実費等の補助を受けることができる場合があります。
各市区町村は「成年後見制度利用支援事業」などの名称で、申立書作成手続や後見人等に支払う報酬を支援する事業を行っています。詳細は自治体によって異なるので、詳しくはお住まいの市区町村役場の福祉課などへ相談してください。
「成年後見制度について相談したい」などと総合窓口へ問い合わせることで、適切な窓口へ案内してもらうことができます。

法テラスでは弁護士・司法書士に支払う申立書作成の報酬や実費の費用を立替する支援を行っています。
費用を立て替えてくれるので、手元にお金がなくても支援を受けることができますが、あくまでも立て替えですので、立て替えてもらったお金は返済しなければなりません。
最初に市区町村役場へ問い合わせを行い、市区町村に支援策がなければ法テラスの支援制度を利用するとよいでしょう。

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