成年後見制度とは?事例とともに解説!

  • 2020年11月27日
  • 2020年11月27日
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高齢化に伴い、成年後見制度を利用したいと考える人が増えています。

しかし「成年後見制度って何ができるの?」「どうやって手続きするの?」など成年後見制度への理解に不安や不明点を抱えている人も多いのではないでしょうか?

成年後見制度の概要を分かりやすく解説するとともに、制度を利用する事例について詳しく解説していきます。

成年後見制度とは

成年後見制度のポイントは以下の3点です。

・判断能力が不十分な成人を法的に保護する制度
・法定後見と任意後見
・被後見人の判断能力によって3つに分かれる

適切な判断能力がない人をサポートする制度ですが、後見人の設置方法は2パターンあり、後見人等は被後見人の判断能力に応じて異なるという点を理解しておきましょう。
まずは成年後見人制度の概要について詳しく解説していきます。

判断能力が不十分な成人を法的に保護する制度

成年後見人制度は判断能力が不十分な成人を法的に保護する制度です。
平成12年に障がいのある方でも家庭や社会の中で暮らしていくことができるようにするために介護保険制度とともにスタートしました。

例えば、認知症の人が自分の判断で適切に預金を引き出すことができるのかと言えば、疑問点が残ります。
もしかすると、誰かに騙されて預金を引き出さされてしまうかもしれません。
判断能力が不十分な成人は本人が気づかない所で本人にとって不利益となる行動をとってしまう可能性があります。
しかし、成年後見人を設置しておくことで、本人の利益になるように行動をするサポートをすることが可能になります。

法定後見と任意後見

後見人等には2つの設置方法があります。

・法定後見:本人や周囲の人が家庭裁判所へ申し立てて後見人等を選任してもらう
・任意後見:本人があらかじめ公正証書で任意後見契約を締結しておく

すでに判断能力が低下している場合には、本人や周囲の人が家庭裁判所へ「法定後見人を選任してください」という申し立てを行い、家庭裁判所が後見人等を選任します。これを法定後見と言います。
一方、後見人はご自身の判断能力があるうちに、あらかじめ選任しておくことも可能です。

自分の判断能力があるうちに、将来後見人等になってもらう人と、公正証書によって契約を締結しておくことによって、その人を後見人として選任することができます。
これを任意後見と言います。

被後見人の判断能力によって3つに分かれる

後見人等は被後見人の判断能力によって以下の3つに分かれます。

・成年後見人:被後見人の判断能力が全くない
・保佐人:被後見人の判断能力が著しく不十分
・補助人:被後見人の判断能力が不十分

成年後見人は基本的にご自身で判断が全くできない人に対して設置されます。
保佐人は日常生活には問題がないが判断能力が不十分、補助人は日常生活には問題がないが普通の人よりも多少判断能力が不十分な人に対して設置されます。
どの後見人等に該当するのかは、家庭裁判所が決定します。

3つの後見人等の権限の違い

後見人等によって与えられる権限は以下のように異なります。

・成年後見人:代理権、取消権
・保佐人:同意権、取消権(申し立てによって特定の法律行為についての代理権が与えられる)
・補助人:なし(申し立てによって同意権、取消権、特定の法律行為についての代理権が与えられる)

代理権とは本人に代わって法律行為を行う権利のことで、これは基本的には成年後見人にしか与えられません。成年後見人が設置されている場合には成年後見人しか特定の法律行為を行うことができません。

同意権とは、本人が財産に関わる法律行為を行う場合に後見人等の同意を必要とする権利です。つまり、保佐人が設置されている場合には、保佐人の同意なくして特定の法律行為を行うことができません。

取消権とは、後見人等の合意を得ない被後見人の法律行為を後から取り消すことができる行為です。

補助人には最初から与えられている権限はありませんが、家庭裁判所へ申し立てることによって同意権や取消権が与えられることがあります。

後見人にはどんな人がなる?

後見人にはどんな人がなれるのでしょうか?
後見人になるための資格は特に決まっていません。
後見人になれない人が決められているだけです。
どんな人が後見人になることができないのか、詳しく解説していきます。

後見人等になれない人

民法847条には「後見人の欠格事由」が定められており、以下の人は後見人になることができないとされています。

・未成年者
・家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
・破産者
・被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
・行方の知れない者

定めらているのは、上記5つの人だけですので、基本的に普通の親族であれば誰でも後見人になることはできると考えて問題ありません。

後見人等は家庭裁判所が決定する

後見人は家庭裁判所へ選任の申し立てを行い、家庭裁判所が決定します。
申し立てた後見人候補者通りに後見人として選任されることもあれば、後見人候補者と異なる人が選任されることもあります。
例えば、親族間で相続をめぐる意見が対立している場合には、親族ではなく第3者が後見人として選任されるケースは珍しくありません。
また、被後見人が多くの財産を保有している場合には弁護士や司法書士などが後見人として選任されることもよくあります。

成年後見人申立ての動機と事例

成年後見人制度は主に以下のようなケースで利用されることが多くなっています。

・預貯金の解約や管理
・施設入所等のための介護保険契約
・身上監護
・不動産等財産の処分
・相続

それぞれ後見人が設置される事例を具体的に解説していきます。

預貯金の解約や管理

後見人制度を利用するための理由として最も多いのが、預貯金の解約や管理です。
本人に判断能力がなくなると、詐欺や不当な契約などの被害にあう可能性がありますし、何よりも日常生活における必要な支払いができなくなります。
預金は本人以外引き出すことができないものですので、後見人となることによって本人の預金を管理し、必要な支払手続きを行うことができます。

施設入所等のための介護保険契約

本人が介護施設等に入居するためには本人が介護保険契約を締結しなければなりません。
本人が成人である以上、この手続きは親戚が代理で行うことは不可能です。
親戚が代理で行う場合には、正式に後見人にならなければ手続きが不可能です。

身上監護

身上監護とは、被後見人の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を行い、生活環境を整えることです。
身上監護を行うためには要介護認定の申請手続、住居の契約、病院への入院手続などの法律行為が含まれます。
これらの手続きの中には、親族というだけでは代理が不可能なものが多いので、後見人を設置しなければなりません。

不動産等財産の処分

被後見人本人が所有する財産を処分する場合には、後見人の設置が必要になり、親族が勝手に処分することは不可能です。
本人の不動産、預金、株式等の有価証券、自動車などの管理や処分を本人以外の者が行う場合には後見人等でなければなりません。
なお、後見人が設置されていても、本人の自宅を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要になるので注意しましょう。

相続

被後見人が相続人となり、相続財産が預貯金の場合、口座の名義変更等の相続手続の際には後見人等の設置が必要です。
また、遺産分割協議によって法定相続分とは異なる割合で相続する場合にも、本人に不利益が生じる可能性があるので後見人等の設置が必要になります。

なお、法定相続分通りに相続する場合には、後見人の設置は不要です。

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