お世話になった病院や施設に寄附をしたい。相続財産を寄附する方法とは?

高齢になってきて自分が亡くなった後のことを考えている方や、亡くなった人の相続についての話し合いをしている方の中には、相続財産の寄附を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生前お世話になった病院や施設、自分の生まれた故郷の自治体、各種慈善団体など、相続財産などへの寄附にあてることはできるのでしょうか。

このページでは相続財産を寄附する方法と注意点についてお伝えします。

 

1.相続財産を寄附する方法にはどのようなものがあるか

相続財産を寄附する方法には次のようなものが挙げられます。

 

1-1.生前贈与として寄附をする方法

相続が発生する前に生前贈与として寄附をする方法があげられます。

相続に関する用語として生前贈与という言葉を使いますが、形式上は生きている間に寄附をすることで、通常の寄附と何ら変わるものではありません。

寄附といっても、法律上の形式では贈与契約を結ぶ事になりますので、受け取ってもらう相手ときちんと契約をする(実務上は贈与契約書の取り交わしを行う)ことになります。

 

1-2.死因贈与として亡くなったときに寄附をする方法

同じように贈与契約を結ぶのですが、契約の効力が発生するのが、贈与をする人が亡くなったときという契約を死因贈与契約といいます。

これによって、生前利用していたものについて亡くなったときに寄附をするということが可能です。

 

1-3.遺贈によって寄附をする方法

亡くなったときに権利が移転するという点では死因贈与と同じなのですが、遺言によって財産を移転する遺贈という方法によって寄附をする方法が挙げられます。

遺贈をするためには、民法に定める遺言の方法によって行う必要があります。

遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言がありますが、遺贈をするためにはどの方法を利用しても法形式上は問題ありません。

 

1-4.相続人が相続財産を寄附する方法

最後に、相続をした相続人が相続財産を寄附する方法です。

以下それぞれの手続きの方法や注意点を確認しましょう。

 

2.生前贈与で寄附をする場合

生前贈与と使って寄附をする場合には、通常の寄附と何らことなるものではありません。

少し上述しましたが、寄附は贈与になるので、法形式上は贈与をしたいという意思表示と、贈与を受け取りたいという意思表示が合致すれば成立することになっています。

しかし、寄附をつかって所得税・住民税の控除を受けたいような場合には、証拠になるものが必要となります。

そのため、通常は贈与契約書を作成して、確実に財産が移転したことを証明する書面とすることになっています。

贈与については、贈与税の基礎控除額である110万円を超える贈与がされた場合には、相手が個人である場合には贈与税の課税対象となりますので注意しましょう。

相手が公益法人などの場合には、法人に所得があったとして法人側に所得税の対象となることになり、贈与をした方に贈与税はかかりません。

しかし、不動産を寄附した場合には、時価での譲渡と認定されることになっており、取得時よりも寄附をしたときのほうが値段が高い場合には、不動産譲渡所得の課税対象になります。

ただ、その寄附がその寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たす場合には非課税となる制度があります。

贈与税については相続税を補完するという役割で相続税法の中で規定されているものでもあるので、仕組みが非常に複雑ですので、税理士に相談をしながら行うのが良いでしょう。

 

3.死因贈与で寄附を行う場合

死因贈与という契約の形態で寄附を行う場合も、生前贈与と同様に契約書の作成が必須です。

死因贈与契約については遺贈に関する規定を準用することになるので、基本的には遺贈と変わらないことになります。

 

4.遺贈で寄附を行う場合の注意点

遺贈で寄附を行う場合にはどのような注意があるのでしょうか。

 

4-1.前提となる遺言書の作成に注意をする

遺贈は遺言で行うものになるので、前提として遺言が有効でなければなりません。

遺言は、どの方式で行う場合でも、民法に規定された方式で行うことによって効力が発生するので、きちんと民法の規定に沿った方法でおこなう必要があります。

つまり、法律の規定に沿ったものではないような遺言をした結果、無効となってしまうことを避ける必要があります。

これが特に問題になるのが自筆証書遺言で遺言を行う場合で、専門家のチェックを経ることなく一人で作ることも多いので、よく無効になってしまうことがあります。

公正証書遺言は、公証人という法律のスペシャリストである公的立場の人が作成するものなので、無効になることはほとんどありません。

そのため、慈善団体や自治体の寄附については、公正証書遺言で作成することをお願いされることがほとんどです。

 

4-2.遺言が有効でも遺留分に注意をする

遺言が有効なものとなった場合には、相続に関する規定に優先して適用がされます。

ここで注意が必要なのは遺留分についてです。

兄弟姉妹以外の相続人には、相続において最低限保障されている遺留分という権利があります。

この権利を遺贈や生前贈与で侵害されると、相続財産を受け取った人に対して遺留分侵害額請求権を行使することができます。

つまり、遺産のすべてを寄附するような場合に、相続人の遺留分を侵害する結果、寄附した相手が相続人から遺留分侵害額請求として金銭請求をされる可能性があるのです。

遺留分侵害額請求は遺留分に相当する金銭の支払いを求めるものになるので、金銭を用意する必要が発生します。

遺贈した相続財産の価格の大部分が不動産であるような場合には、遺留分侵害額請求の支払いのために相続財産を売却するようなことにもなりかねません。

そのため、遺贈をする場合(生前贈与・死因贈与)には、遺留分を侵害しないように注意をするか、遺留分侵害が発生する場合でも金銭を用意できることが重要であるといえます。

 

4-3.遺贈でも寄附をする前に相手に確認を

遺贈は生前贈与・死因贈与などの契約ではないので、一方的に行うことになります。

そのため、遺贈を受けるほうとしては、不本意な遺贈を受けることもあります。

そのため、事前団体や自治体などでは、遺贈を受ける際に事前の相談をするように促していますので、ホームページなどの記載を見てよく確認してから遺贈を行うようにしましょう。

 

5.相続人が相続財産を寄附する

1から4はすべて自分の相続財産についての寄附に方法についてですが、相続で受け継いだものを寄附する方法が、相続人が相続財産を寄附するものです。

自分が亡くなったときに相続人に相続財産を寄附してもらいたい、という意思があるような場合でも、寄附は相続人が独自の判断で行うことになりますので、相続人の行動を決めることはできない点に注意です。

相続財産を受け継いだ相続人として、寄附を行う場合には、寄附によって相続税の控除を受けることができる可能性があります。

相続税は、相続税の基礎控除額である「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」によって計算します。

相続人が配偶者・子2名の場合には3人になるので、「3,000万円+(600万円×3)=4,200万円」となります。

この額を超える場合には相続税がかかるのですが、一定の寄附を行った分については控除を受けることが可能ですので、税理士に確認をしながら行うようにしましょう。

遺産を寄附するような場合でも、寄附を受け付ける団体によって事前に相談をしてほしい旨ホームページなどで記載していることがありますので、よく確認するようにしましょう。

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