後見人の選任において重要なポイント3つ!

痴呆などによって成年後見人を選任しなければならない場合、「誰が後見人になればいいの?」と頭を悩ませる人も少なくないのではないでしょうか?
実際に、被後見人の代わりに法律行為を行う重要な役割を担うことになる後見人を選任するには「どんな人物がふさわしいのか」というのは重要なポイントです。

そこで、成年後見人を選ぶために重要になるポイントと、成年後見人が選任されるまでのプロセスなどについて詳しく解説していきます。

成年後見人を選任する手続き

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。
そして、家庭裁判所へ成年後見人を選任してもらうためには、本人や親族が家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。

申し立てから成年後見人が選任されるまでの流れは凡そ以下のようになります。

  1. 家庭裁判所に「後見開始の審判」の申し立て
  2. 家庭裁判所による調査
  3. 医師による鑑定(必要な場合)
  4. 成年後見人の選任

成年後見人選任までの詳しい流れを詳細に解説していきます。

家庭裁判所に「後見開始の審判」の申し立て

成年後見人を選任するためには、本人や親族などが被後見人となる者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「後見開始の審判」の申し立てを行わなければなりません。

申し立てる前には、本人の判断能力が低下している内容を記した医師の診断書と、後見人候補者を見つけておくという2つの準備をしておかなければなりません。
後見人を選任するためには「本人の判断能力が精神上の障害により著しく低下していること」という条件を満たす必要があります。
これを証明する医師の診断書が必要です。医師はかかりつけ医で問題ありません。
また、後見人候補者は申し立てる際に親族などが最適だと考える人物を申告します。
ただし、この人物が必ず後見人として選任されるわけではなく、家庭裁判所が個々の事例に応じて最終的に決定します。
そのため、後見人候補者なしでも申し立てを行うことができます。

家庭裁判所による調査

申し立てが受理されると、家庭裁判所による調査が行われます。
調査を行うのは家庭裁判所調査官で、調査官は被後見人となる本人や後見人候補者と面談を行います。
面談から、本人の生活状況や親族の状況、さらに申し立てにいたった経緯などについて調べます。
簡単に言えば「本当に後見人を設置する必要があるのか」ということについて調査官が調べるのです。

医師による鑑定(必要な場合)

調査官による調査の結果、家庭裁判所が医師による鑑定が必要になると判断した場合のみ、調査とは別に医師による判断能力の鑑定が行われます。

例えば、診断書には「判断能力が欠如している」と記載されているにも関わらず、家庭裁判所調査官の調査では欠如しているとまでは言い切れないような場合には医師による鑑定が入ることもあります。

なお、この費用は10万円~20万円別途必要になっていまいます。ただし、一般的には鑑定が行われるケースの方が少ないと言われているので、必ずしも支払う必要がない費用です。

成年後見人の選任

家庭裁判所調査官や医師による鑑定結果を踏まえて、家庭裁判所が後見開始の審判を行い、成年後見人が選任されることになります。
調査の結果、後見人ではなく、保佐人や補助人となることもあります。

なお、後見人として選任される人物は、申し立て時に指定した後見人候補者が選ばれることもあれば、他の人が後見人として選任されることもあります。

成年後見人になれない5つのケース

法律には「成年後見人になることができる人」という決まりはありません。
しかし、民法第847条には後見人の欠格事由として以下に該当する人は成年後見人になることができないと定められています。

  • 未婚の未成年者
  • 家庭裁判所で親権喪失の審判を受けた者や、家庭裁判所で解任された保佐人や補助人であった者
  • 破産者であって免責決定を得ていない者
  • 被後見人に対し、裁判をしたことがある者及びその者の配偶者、直系血族
  • 行方不明者

これらの人は後見人の財産の管理や身上監護を行う資格や能力がないと判断されるため後見人となることはできません。
未成年者や行方不明者は判断能力がないと判断されますし、破産者や後見人に対して裁判をしたことがある人は、中立性などに欠けるため後見人にはなれません。

とはいえ、一般的に未成年者以外は上記に該当する人はほとんど存在しないため、ほとんどの人は後見人になることができると理解しておきましょう。

成年後見人の選定において重要な3つのポイント

成年後見人は上記の欠格自由に該当しないのであれば、誰でも選任することができます。

しかし、状況に応じて成年後見人に選任されることがふさわしい人は異なります。

  • 子供が近くにいる場合
  • 被後見人に多額の財産などがある場合
  • 被後見人の身上監護が主な役割になる場合

上記3つの状況において、選任されるにふさわしい成年後見人はどのような人なのか、詳しく解説していきます。

子供が近くにいるなら子供が選任されることが多い

子供が被後見人の近くに居住しており、継続的に被後見人の面倒をみることができる状態にあるのであれば、子供が後見人として選任されることが一般的です。
そもそも子供は利害関係なく「親の面倒をみよう」「親の生活環境と整えよう」と考えることができるものですので、子供が後見人となるケースは少なくありません。

ただし、子供が複数人存在し、子供同士で被後見人の相続問題で揉めるような要素がある場合には、後見人となる子供と他の子供との間で中立性が保てないので子供が選任されないこともあります。

被後見人に多額の財産などがある場合

被後見人に多額の財産がある場合には、子供や親戚などの親族を後見人とすることは避けた方がよいでしょう。
被後見人に多額の財産がある場合には、相続人同士で相続問題で揉める可能性が高くなります。

すると、後見人になった親族だけが相続問題で有利な立場になる可能性があるので、相続において中立性が保てなくなってしまいます。
そのため、このようなケースでは弁護士や司法書士などの法律関係の専門家が後見人として選任されるのが一般的です。
被後見人の財産の状況によって、専門家を後見人として選任することも検討しましょう。

被後見人の身上監護が主な役割になる場合

一方、被後見人の身の回りのケアである身上監護が後見人の主な役割になる場合には、子供や親族などが後見人として選任されることが最適でしょう。
特に多額の財産が被後見人にないのであれば、他の親族と利害の不一致は生じないですし、何よりも被後見人の生活の面倒をみる子供などが後見人になった方が、あらゆる点でスムーズだからです。
そのため、被後見人に多額の財産がなく、身上監護が主な役割になる場合には子供などの親族が後見人として最適です。

ただし、このケースは日常的に身上監護をすることができる親族が被後見人の近くに居住していることが条件になります。
日常的に被後見人のケアをすることができる親族が近くにいないのであれば、親族は後見人として適しているとは言えません。
このようなケースにおいては、後見人として社会福祉士が選任されることが多いと理解しておきましょう。

なお、後見人には報酬が発生します。
親族であっても、司法書士や弁護士や社会福祉士などの専門家であっても月額報酬の相場は2万円~6万円で、この金額も家庭裁判所が決定することも頭に入れておきましょう。

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