後見人事例~身内が認知症になった場合~

  • 2020年12月15日
  • 2020年12月8日
  • 後見人
  • 4回
  • 0件

世界トップクラスの長寿国である我が国日本では、ほとんどの人が「親族に認知症の人がいる」という状態になる可能性があります。
親族が認知症になった場合には、例え子供と同居している人であっても後見人を設置するということは避けて通れません。

認知症などによって判断能力が低下した親族がいる場合には、後見人をしっかりと立てて、認知症の親族の利益を守り安心した社会生活を送ることができるようにしてあげましょう。
後見人は何ができるのか、具体的に事例とともに詳しく解説していきます。

後見人に与えられる権利

後見人等に与えられる権利は、以下の3つの権利です。

  • 代理権
  • 同意見
  • 取消権

この3つの権利が与えられることによって、判断能力の乏しい被後見人が経済的な不利益を被ることから守ることができます。
後見人等になった人が与えられる3つの権利について、まずは詳しく解説していきます。

代理権

代理権とは、法定後見人だけに与えられる権利です。
法定後見人は、被後見人の法律行為を代理することができます。
そのため、被後見人が法定後見人の代理を経ないで行った法律行為は無効となります。
法定後見人は判断能力のない人に対して設置される最も権限が強い代理人です。
基本的には単独で法律行為を行うことは不可能であるため、法定後見人だけが代理権を持っています。

同意権

同意権とは、被後見人の行う法律行為には後見人の同意が必要になるというものです。
これは、判断能力に著しく問題がある人に対して設置される保佐人に付与される権限です。
被後見人は判断能力に著しく問題があるものの、単独で法律行為を行おうと思えばできてしまいます。
しかし、判断能力に著しく問題があるのですから、本人に不利な法律行為を締結する可能性があります。
そのため、後見人に同意権を与え、本人の不利益になる法律行為を本人が単独で行うことができないようにしています。

医療同意権は含まれない

なお、「手術を希望するか」「延命するか否か」という医療同意権は、後見人の同意見には含まれません。
後見人は医学的判断ができませんし、司法書士や弁護士などの職業後見人がこのような命に関わる判断をすることは酷です。
そのため、同意見が与えられているのは財産の管理と身上監護だけになります。
医療に関する同意見は後見人には与えられていません。

取消権

取消権とは、被後見人の法律行為を取り消すことができる権利で、法定後見人と保佐人に対して与えられます。
後見人の代理や同意を経ないで、被後見人が単独で行った法律行為は本人の不利益になる可能性があります。
後見人に取消権を与えることによって、このような法律行為を後見人等は取り消すことができ、被後見人を不利益から守ることができます。

後見人が被後見人のためにできること

後見人は、代理権や同意見や取消権などを使って、主に以下の2つのことを行うことができます。

  • 財産の管理
  • 身上監護

後見人が行うことができるのは財産の管理と身上監護です。
それぞれ、具体的にどのような行為なのか、詳しく解説していきます。

財産の管理

財産の管理とは預金の管理や、引き出しなどです。
預金は本人以外には引き出すことができないのは原則です。
しかし、預金者に判断能力がなくなってしまったら、預金の引き出し等も不可能になってしまいます。
すると、生活に必要な支払いも不可能になってしまうので、後見人は認知症などの後見人の財産の管理を行うことができます。
なお、財産には預金だけでなく不動産も含まれます。例えば所有するアパートにおける賃借人との契約手続なども財産の管理に該当します。

身上監護

身上監護とは、被後見人の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を後見人が行うことを指します。
例えば被後見人が老人ホームへ入居するために介護保険契約が必要な場合、後見人が介護保険契約を行い入居手続きを行うなどすることが該当します。
認知症の親族がいる場合には、後見人が身上監護を行ってくれるので、認知症であっても健全な社会生活を送ることができるようになっています。
後見人の仕事は被後見人の財産を管理することと身上監護を行うことの2点だと理解しておきましょう。

具体的にどんなことをする?後見人の事例

それでは、後見人は被後見人に具体的にどのようなことを行うのでしょうか?
後見人が設置される理由の上位5つは以下のようになっています。

  1. 預金等の管理
  2. 身上監護
  3. 介護保険契約
  4. 不動産の処分
  5. 相続手続

それぞれのケースで後見人が認知症の被後見人のために行うことを具体的に解説していきます。
親族が認知症になった時のために、後見人が被後見人にできることについて、具体的にイメージしておきましょう。

預金等の管理

後見人の重要な仕事の1つが預金等の財産の管理です。
例えば、被後見人が老人ホームへ入居して、その月額利用料を口座から引き落とす場合や、一時金を支払う場合、口座引落の手続きや一時金の支払いを認知症などによって判断能力がない被後見人が単独で行うことは不可能です。
このような場合、後見人が本人に代わって必要な支払いを行います。
また、基本的に被後見人が誰かに騙されて預金等を不正に引き出す引き出すことがないよう、預金等の財産を管理しておくことは後見人の重要な役目になります。

身上監護

身上監護とは被後見人の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を後見人が行うことです。
例えば、住居や介護施設の賃貸契約の手続きを代理するなど、被後見人の生活環境を確保する手続きを代理人が行います。
認知症などによって単独での法律行為が困難な人の生活を監護することは後見人の非常に重要な役目の1つです。

介護保険契約

認知症などによって要介護状態になった時には、認定を受けて介護保険契約を行う必要があります。
しかし、すでに認知症になっている状態であるため、この介護保険契約を本人が単独で行うことができません。そこで、後見人がこの手続きを代理するなどして、被後見人の介護保険契約を有効に成立させることが可能になります。

不動産の処分

不動産の処分の後見人が設置される事例の1つです。
例えば、被後見人が老人ホームへ入居するため、これまで同居していた自宅を処分したいような場合にも、後見人が必要になります。
不動産の処分という法律行為は本人以外に行うことができないため、後見人を設置して本人の法律行為をサポートする必要があります。
老人ホームに入居する、自宅を売却して子供と同居するなどの理由によって不動産を処分する必要性が生じた場合には、後見人の設置が必要です。

相続手続

判断の低下した人の配偶者などが死亡し、相続が発生した場合にも後見人の設置が必要なケースがあります。
法定相続分通りに相続を行う場合には、判断能力の低下した相続人に不利益が生じることがないため、後見人の設置は不要です。

しかし、遺産分割協議によって法定相続分と異なる相続を行う場合には、判断能力の低下した相続人に不利益が生じる可能性があるので後見人の設置が必要になります。

例えば、相続財産が5,000万円、法定相続人が子供2人という場合、2,500万円ずつ相続するのであれば後見人は必要ありません。
しかし、2,000万円と3,000万円など、法定相続分とは異なる割合で相続する場合には、後見人の設置が必要になります。

なお、仮に法定相続分通りに相続した場合でも、相続手続において預金口座の名義変更や相続登記の必要がある場合には、いずれにせよ後見人の設置が必要になります。

基本的に相続人の中に判断能力の低下した人がいる場合には、後見人の設置が必要になるものと理解しておきましょう。

NO IMAGE